共有

第28話  

松山昌平は、このファンクラブに三十万人以上ものメンバーがいる上、その活発さが全ファンクラブの中でトップファイブに入るとは思いもしなかった。

 彼が小規模な活動だと思っていたものが、実際はしっかりとした組織だったのだ。

 どうりで、たった一回のライブ配信で彼をクズとしてトレンドに載せることができたわけだった。

 松山昌平はマウスを動かしながら、真剣な表情でパソコンの画面を見つめていた。

 「超ラブラブ!『初心繫昌』が一緒に映っている名シーンを徹底解説!」

 「すごいすごい、うちの初ちゃんが松山昌平の薄情者を見つめる目が絶妙すぎる!」

 「両思いだよ!松山・ツンデレ社長・口と腹が違う・クールな若様・昌平が妻を愛している五つの瞬間を徹底解析!」

 「......」

 このファンクラブは本当に超活発で、次々と新しいスレッドが立ち、古いスレッドも次々に更新されていた。みんな画像や文章を駆使して、熱心に議論を繰り広げていたのだった。

 松山昌平も初めて知ったのだが、彼と篠田初が一緒に映っている場面がこんなにも多かったとは思ってもみなかった。

 そして、その場面の中で、篠田初が彼をこっそり見つめる視線が、こんなにも熱く、こんなにも深い感情を持っていた。

 これらの投稿の中で、最も閲覧数が多く、コメント数が最多の投稿は、『真夏の心泥棒』というIDのユーザーが書いた彼と篠田初の同人小説だった。

 「初めての出会い。真夏のある午後、突然の大雨が降り注ぎ、誰もが雨を避けるのに忙しい中、彼と彼女は出会った......」

 松山昌平もこの文章に引き込まれ、じっくり読もうとしたが、リフレッシュした瞬間、エラーが表示され、ページが削除されたことを示していた。

 「くそっ!」

 松山昌平は小さく呪いの言葉を吐き、明らかに物足りなさを感じていた。

 彼はこのグループがなぜこんなにも多くの人々に支持され、活発であるのか、ようやく理解した。

 なぜなら、これらのネットユーザーたちは非常に才能に溢れ、ストーリーを創作する力があまりにも強く、一度入ったらはまってしまうほど魅力的だからだった。

 松山昌平は冷静さを保とうと努め、そのファンクラブのページを閉じた。

 このままでは、自分もそのファンの一員になってしまいそうだった。

 気がつくと、すでに夜になっていた。

 
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status